ヒネモア と ツタネカイ の ラブスト−リ−
ヒネモアはロトルア湖の岸辺にあるオ−ファタ村に住むとある部族の酋長の娘でした。
ロトルア湖にはオ−ファタ村から4km離れたところにモコイア島という島があります。
この島には、ツタネカイという家柄は良いが不運にも私生児の若者が住んでいました。
お互いの部族は特別な式典の度に、お互いの村を訪れていました。
そのうちに2人は知り合うようになり、やがて恋に落ちていきました。
2人が思い合う気持ちは日増しに強くなり、ツタネカイはモコイア島から
ヒネモアに思いを伝えたいと毎晩思うようになりました。
ツタネカイは湖の向こうの丘が見える家のベランダに腰掛けフル−トを
奏でるようになりました。夕暮れの風の中でロトルア湖の水の上を
流れるようにフル−トの音が響きました。ヒネモアは湖の岸に立ち
ツタネカイが彼女のために奏でるフル−トの音を一心に聞くようになりました。
ところが、ヒネモアの親戚がヒネモアがツタネカイと恋に落ちたことに気付きました。
親戚はツタネカイは部族間においてもヒネモアの結婚相手にはそぐわないと
考えていました。そこで、毎晩すべてのカヌ−を陸にあげてしまい、ヒネモアが
カヌ−を水際まで引いてツタネカイのもとへ湖を渡って行かないようにしました。
ある夜、ヒネモアは岸辺に立ちいつものようにツタネカイが奏でる音色を
聞いていると、急に胸が苦しくなり、涙があふれてきました。
彼女はいてもたってもいられなくなり、急いでひょうたんを6つ集め.
浮き輪の代わりにし、ツタネカイの奏でる音色を頼りに湖に入っていきました。
彼女はモコイア島に向けて、長い道のりを泳ぎました。やっと島に着いた頃には
疲れ果てていました。温泉にたどり着き、温泉の湯につかりました。
体は冷え切っていましたが、心はうれしさでいっぱいでした。
ヒネモアは温泉の隣の泉に、ひょうたんに水を入れにやって来る
男の人の足音を聞き、その人影を見ました。
ヒネモアはとっさに男の声真似で 「そこに居るのは誰だ!」と
怒鳴りました。「私はツタネカイ様の召使にございます。この水は
ご主人様に差し上げるものです」との返事が返ってきました。
ヒネモアの心はツタネカイの家がもうすぐそこにあると知り、高鳴りました。.
彼女は召使からひょうたんを取り上げると石の上で割ってしまいました。
召使は急いでツタネカイのものとに戻り、温泉での出来事を伝えました。
しかし、ツタネカイは失恋の痛手で何もできないほど疲れていました。
召使は再びひょうたんに水を入れに行きましたが、ヒネモアはまた
水の入ったひょうたんをつかみ、石の上で壊してしまいました。
これは、ツタネカイがどうにかしなければ、と思うまで繰り返されました。
ツタネカイはこん棒をつかみ、屈辱を与えるよそ者を殺そうと
温泉へ向かいました。ツタネカイは名乗りを上げながら近づき
腕をつかんで温泉から月の光の中へと引きずり上げました。
「ツカネカイ、私はヒネモアよ」
彼女はささやきました。ツタネカイは月の光の中で驚きのあまり
立ちすくみました。すぐに2人は抱き合い、ツタネカイの家へと向かいました。
もはや離れ離れにはなりませんでした。
翌朝2人は、遅くまで寝入っていました。
ツタネカイの父が召使にツタネカイを起こすように言いつけました。
召使はツタネカイの部屋に2人分の足が見えたこと、
ベットに寝ていたのがツタネカイ1人でなかった事をツタネカイの父に報告しました。
ヒネモアとツタネカイがお互いに抱き合いながら現れた後には
お互いの親戚や部族は2人の結婚を認めました。
このヒネモアとツタネカイのラブスト−リ−はマオリの歴史上
最も偉大なラブスト−リ−として記されています。
この2人の話は現在もなお、ロトルアの街で語り継がれています。
マオリの歴史の中で最も偉大なラブソング 「ポ
カレカレアナ」 は
マオリウエディングでお2人のセレナ−デとなります。
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ポカレカレアナ
( マオリのラブソング )
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